■和訳■

Cインタビュー
Q,空間デザインによって独自性を持たせるための設計過程についてご説明いただけますか?
A,平面図が完成すれば、空間の形が決まります。
その空間の形をイマジネーションの中にトレースし、空間の形を完全に捉えた後、心踊る空間をイメージしていきます。
空間デザインにおいて、「手法」は存在しません。
子供が画用紙に絵を描くのと同じで、ただイマジネーションの世界を楽しむことでのみ新しいデザインを生み出すことができると思います。
ただ子供のお絵かきと違うのは、クライアントの経営戦略と空間デザインをリンクさせることと、それを実現するためのコストを常に意識しなければならないことです。

Q,御社は商業施設だけでなくビジネススペースも手掛けておられますが、これら特徴や目的の異なる分野を手がけることで感じる違いなどはありますか?
A,商業施設においてデザインが重要であることは周知の通りですが、オフィスや病院などの空間においても、空間デザインは非常に重要な要素です。
飲食店や物販店なら、お客さんは商品を手に取ったり食べたりして、その商品を評価することができますが、オフィスや病院が提供する商品は無形のサービスです。
そのため空間のイメージが、訪れたお客様の深層心理に大きく影響します。
見た目に同業他社と明らかに違う、とお客様に感じさせることは、即ちサービスの内容の違いに対する期待感を増幅させます。
そのため商業施設設計の経験がオフィス空間のデザインにおいても重要な役割を果たします。
オフィスに限らず、あらゆる業種の空間設計においても言えることですが、お客様にどのような印象を与えることが、クライアントにとってのメリットとなるのかを十分に理解し、設計を進めていくことが重要であると思います。

Q,木や石といった素材が御社の作品によく使用されています。これらの素材を使用する意味と効果は何でしょうか?
A,私はしばしば自分のデザインが自然の生み出す風景を追い求めているということに気付きます。
樹木の枝振り、木目、石の模様、水面の波紋など、ランダムに見えながらも自然界の法則に基づいた、調和のとれたデザインに、私達は無条件に魅かれます。
私の理想とするデザインとは、自然界のデザインと同じアルゴリズムによって具現化された、自然界の生み出すバランスに近いバランスを備えたデザインです。
そのような自然界のアルゴリズムを用いて空間をプログラムすることで、人間の深層心理に作用する風景を作り出すことができると信じています。
私が必ず石や木などの自然の材料を使うのは、自然のデザインが無機質な空間を補完することで調和をもたらし、空間に深みを与えてくれるからです。

Q,多くの施工例は日本国内ですが、「天」はオーストラリアの店舗です。オーストラリアで仕事するきっかけは何だったのでしょうか?
また、海外で仕事する上で日本国内と異なる点はございますか?他に仕事をしてみたい海外の国はありますか?また、その理由を教えていただけますでしょうか?
A,海外の案件は以前にもアメリカで数件ありましたが、始めての海外での大型店舗の設計となったオーストラリアの案件は、弊社のホームページを見たオーストラリア現地企業からの設計依頼の電話が始まりでした。
私達にとって海外の案件における最大の難関は言葉の壁ですが、幸い日本語の通じるクライアントでしたので、その点は問題ありませんでした。
海外の案件を設計する場合、考慮しなければならないのは、現地で入手可能な材料と現地の建築技術です。
オーストラリアの案件では石材やステンレスの現地での加工に不安があったため、日本で制作したものを船で運びました。
また工事監理はメールとスカイプを使用して行いました。
その後マレーシアでの案件なども経験し、現在はベトナムや中国でのプロジェクトを抱えています。



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